成長の足跡
自分の気質が元々のんびりしているせいか、あの人はよく愚痴をこぼす、と思うことが多い。
一緒にいると、ちょっとの事で琴線に触れるらしく、それが愚痴になる。
言ってる事は正論なのだけれど。
そんな些細なことで、いちいち反応してしまう気質って疲れないのかな、
もっと緩くおおらかに捉えれば、心理的負担も軽くなるのに、とつねづね思ってた。
でも、本当によく細かいところまで見てるし、それに反応するということは感受性が高いのか、と最近気づいた。
なぜあの人との会話を一番楽しんでいるかというと、
自分が思った事に対して、真面目に応えてくれるから。
感動したり、共感したり、心の動きに応じてこぼれおちた言葉も
この人だったら、ちゃんと受け止めてくれるからと、安心して話せる。
私は感覚的・情緒的な部分で物事を捉えて、無理やり言語化するのだけれど
そんな言葉にならない言葉も、がっちり受け止め、論理的に解釈してくれる。
今、書きながら思ったのだが、かなり難易度が高い技術、ではなかろうか…。
今更ながら、相手の感受性の能力の高さと、それをまとめる言語解析能力との
バランス感覚が長けていることに、感謝。
それだけ感受性が高いということは、気配り上手で、助けを求める人に頼られたら全力で尽くす。
その分人より気苦労が多く、人よりストレスも溜まりやすい。
更に言えば、人よりより傷つきやすくて、頭の回転もいいだけに、余計なことまで考え、その分、傷も深い。
どーでもいいことはすぐ忘れるらしいけど、自分の核心に触れることは、もうトラウマレベルで、
花粉アレルギーのごとく敏感に反応し、未だ傷は癒えず、かさぶた状態のまま、蓋をしてるだけ。
感受性の高い人は、他人の感情が敏感にわかるので、相手が嫌な反応をしていると良くわかる。
それで他人を傷つけてしまった自分を責める。
そして
「自分の言いたいことが言えなくなる」
太宰治の言葉を思い出す。
「率直なんてものは、他人にさながら神経のないもののように振る舞うことです。
他人の神経を認めない。
だから、あまりに感受性の強い人間は、他人の苦痛がわかるので、容易に素直になれないのです。
率直なんていうのは、暴力に等しいのです。」
あれだけ感受性が豊かな人だから、きっと、人のずるさも、面倒なところも、複雑な人間関係のしがらみも、
そこから派生する利害関係も、人間の悪い部分すら浮き彫りになって、
見たくないところまで見えて、感じてしまうのだろう。
そして自分の受けた傷はより深く、悔しく、悲しみも強いのではなかろうか。
でも、自分の受けた傷も、相手の痛みも、より理解し受け入れているので、その分人に対して優しく強くなれる。
その経験がその人の内面を広げたり深めたりして、人を支える優しさにつながったり、
弱さを受けとめられたりする形で、自分自身も成長しているのだろう。
経験からくる想像力、人を思い遣る創造力。
その底辺が低ければ低いほど、嬉しい時に感じる感動は倍の大きさなんだろうな。
そういう人の喜怒哀楽を悩み、葛藤しながらも、きちんと受け止めて、
周囲に還元できている、人間味に溢れる魅力的な人だ。
有言実行・猪突猛進タイプだから更に磨きがかかる。
「少しでも多くの人の幸せにふれて、自分を成長させ、
自分の目標への達成率を遂げるのが「人生ツアー」の本質」
あの人もまた、自分を成長させる為に、
本質的な目標値が高いから、より達成率を上げる為の必要不可欠な素養を持って生まれたのかな。
だから少しでも多くの人の幸せに触れられることができる 。
感受性が高くて大変だな、と思っていたけれど
実はその分、豊かな感性をフル活用して、日常を深く堪能し、楽しい人生を送っている 。
「感受性が豊かな人は人生を楽しめる」
それがあの人をとりまく雰囲気にでていたから、私があの人に対して一番に惹かれた要素だったのかと気づいた。
きっと、あの人が感受性が高い素養を持っている本当の訳は、
人一倍、幸せを感じたかったんだろう。
そして、それを享受し、人生を謳歌している。
まだまだ愚痴は多いけれど、それもあの人の成長を形成する上での、経緯の足跡なのだ。
慎重派の私が、あれだけ短期間のうちに、まるで誰かから背後から突き落とされたように、
あの人に惚れた訳がようやく腑に落ちた。
そりゃあ、惚れないわけがない。
…あの人が振り向くかはわからないけどね。
でもこんなに惚れた相手が目の前にいて、一緒にいてくれる。
「惚れた相手を惚れ抜く」
こんな貴重な体験をしないわけにはいかない。
たかがこれから自分が受ける傷の大きさを危惧して、相手の反応をみながら思いを小出しにする、
そんなちゃちな気持ちの駆け引きなんて、こんなに惚れた相手に対して失礼じゃないか。
自分自身に対しても。
そういう関係ではなく、もっと相手の幸せを喜び、笑い飛ばし合いながら、お互いの道を進んでいきたいのだ。
改めて今の気持ちをちゃんと表明して、受け入れてくれたら、リミッターはずそう。